バブルの時代。
多少品質が悪くても、売れていた時代。
頭が悪くても(先見性もビジョンも何もなくても)経営者としてどうにか成り立っていた時代。
今の農家さんの殆どは、そんな素敵な狂った時代を生きてきた。
彼らの多くは質より量を確保しようと樹間をなるべく狭くとり、木の間を通る時は頭があげられないくらいに所狭しと植えている。
もちろん、密植に適した柑橘類もあるかと思うが、普通はそうではない。
そんな園地では、毎年収穫されずに残された粗悪な果樹を目にする。
粗悪品は通常、販売をすべて委託している処に規格外品として恐ろしいほどの安値で納品され、粗悪品が供給過剰になると取引量が制限される。
自分や家族内労働はただだという、サービス精神いっぱいの彼らでも、木に残された粗悪品を売るための時間は無いようである。
では、高品質なモノを作るにはどうすればいいのか。
簡単である。
木を切って、適度な広さを確保すればいい。
そうする事によって作業効率は飛躍的に向上し、品質もあがる。
だが、彼らは口を揃えて、木を切ると収量が減少すると言うが、全くもってナンセンスである。
もともと木どうしが重なりあってる部分には、ほとんど果実は付かない。1本の木からあがる収量は僅かである。
ただ重なりあってるため、たくさん実がなっていると見えるだけである。
樹間を広く取ることで木を大きくし、360度収穫可能となり収量は段違いにあがる。
確かに全体量からすれば減るかもしれないが、減ったとしても売れない粗悪品である。
労働時間も短縮され時間の余裕ができる。
果樹は実をつけるまで最低でも3年はかかる。
愛着が生まれるのは仕方ないが、目先の欲や習慣に囚われていては駄目である。